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空が夜色に染まっていた。
青でもなく黒でもない色。
透き通っているが、遠くまでは見渡せない色。
だから夜色。
その夜色に染まる空間を大輔は眺めていた。
窓を開けて、頭だけを窓の向こうに出している。
部屋の中と外では空気がまったく違っていた。
外のほうが、広い。
開放感とでも言えばいいのだろうか、とにかく広いのだ。
《大輔。寝なくていいのか?》
突然雷鳴のような声が降り注いできた。
大輔は一度上を向いて、また前を見た。
そして、
「もう少ししたら寝ますよ。
明日も学校ですしね」
《学校があるなら、なぜ寝ない?》
「追試…があるからですよ。
それがもしかしたら明日あるかもしれないんで、勉強しないといけないんです」
《勉強するための徹夜か。
あまり感心はできないな。
夜は寝るべきだぞ》
「俺もそう思いますよ」
けど、もし寝てしまったら後悔するような日が来るかもしれない。
そう思うと不思議と眠くならなかった。
緊張感が胸をずっと締め付けている。
正直息苦しい。
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