way of life―first―

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「なんだ療、やっぱり一人で寝るのが怖いのか?」 いたずらっぽく大輔が言う。 すると療は慌てたようすで、 「ち…違うよ! 恐怖はないんだよ! ほんとだよ!」 「あはは。無理しなくていいよ。 大丈夫だって、別におかしいことじゃない。 小学生ならよくあることだ」 「だからぼく高校生…ってじゃなくて! ほんと違うんだよ! オバケとかが怖いんじゃなくて… 一人になるのが怖いんだよ」 「だから一人で寝るのが怖いんだろ?」 「違うって!」 療が体を起き上がらせた。 ベットの上で座り、大輔を見下ろしている。 「なんかこう…目を瞑るとさ、独りになるじゃん。 真っ暗な中に自分しかいないような感覚になってさ。 夜だから音もないし。 真っ暗闇の中に独りでいるような気分が怖いんだよ」 大輔も体を起こした。 療の瞳がオレンジに光っているのが見える。 わずかだがその双眸が揺れているようだった。 「ね、大輔は思ったことない? 夜が怖いって。夜が来なければいいって思ったことない?」 「療は夜が嫌いか?」 大輔が聞くと、療はうなづくしぐさを見せて、 「嫌いかな。 夜は暗いし寂しいし。 目を開けたとき、世界にぼくしかいないんじゃないかって思うときがあるんだ」 「ふーん」 「大輔は? 思わない?」 「俺は……思わないな」 え? と療が声に出さずに聞いた。 大輔もそれを感じたようで、まるで独り言のように話しはじめた。  
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