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大輔は療を見た。
正解に言うと、2つ輝くオレンジの光の玉を。
光の玉はただ自分だけを見据えていた。
まっすぐすぎるぐらいの視線。
それを見ていると、なんだか不安になった。
自分の全てを見透かされるような気が全身を駆け巡る。
それは正直いい気分ではなかった。
「ま、今ではそんなことは思わなくなったけどな。
俺にもちゃんと“はじまり”が来てるし。
そりゃちょっとは明日が来なきゃいいって思ったときもあるけどさ。
でも昔ほど思ってはいないかな」
「ぼく、よくわからないんだけどさ。
大輔にとって“はじまり”ってなに?」
「…さぁな。
言葉で説明できるようなものじゃないよ」
「ふーん。
でも嫌いじゃなくなったんだね」
「あぁ。
だから療の夜嫌いもなくなるかもな」
「どおして?」
「俺がそうなったからさ。
だから療の夜嫌いも直る日が来るかもしれないだろ」
「あぁ~残念だけど、それは無理だよ」
「無理なわけあるか。
大丈夫だ」
「ん~多分ダメだよ。
だって……ぼくが夜を好きになれない理由が…あるからね」
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