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「これは違うよ。
これは僕が好きな本」
「勉強とは関係なし?」
「まったく」
豊はしおりらしき紙をページに挟むとパタンと本を閉じた。
そのあと、本を鞄にしまおうと豊が下を向く。
髪がフワリと垂れ、下を指した。
まるで雨のように一直線に。
ワックスなどは使っていないのだろうか。
柔らかそうな髪質だ。
「それじゃよ、豊。
お前はどうやって勉強してるんだ?」
司が問う。
すると豊は答えを言う代わりに鞄の中から本を取出して、司に渡した。
さっきとは違う本。
やっぱりカバーがついているので表紙が見えない。
なんの本か分からなかったが、教科書よりは厚く、また大きい。
問題集…か?
「僕はこれを覚えているから平気」
「覚えているって…なにを?」
「この本の内容を」
慌てて司は目を本へと向けた。
教科書より厚いこの本を全て暗記?
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