8725人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば。朝、明徳はどのくらい司の愚痴を聞いていたんだ?
俺が来る……10分ぐらい前からか?」
「そんな遅くから、だったらどんなに楽だっただろうね……」
暗い笑みを浮かべながら、窓の景色に目を向ける明徳。
「……明徳?」
「今日は、だいたい1時間ぐらい愚痴を聞いてたかな」
1時間? いつも明徳と司はそんな早くから学校に来てたのか。
知らなかった。
「今日は司がさ、おれの家に来たんだよ。
朝7時ぐらいに」
「朝7時?」
思わず聞き返してしまった。
明徳は小さく頷いて、こちらを向く。
あぁ……顔が暗い。
「今まで迎えに来たことなんてなかったのにさ。
“今日だけは特別なんだ”って。
なんの特別かって訊いたら……」
「テスト返却日」
「そう」
明徳が大きくため息を吐いた。
「なんか、話しを聞くと“明徳みたいな追試の心配がないやつが恨めしい。だから今日はそいつを不幸にするんだ”って」
「すげぇ逆恨み」
苦笑いしか出て来ない。
司が今日はそんな決意で来たってことは、休み時間はずっと愚痴で決まりかな。
最初のコメントを投稿しよう!