way of life―first―

6/35
前へ
/517ページ
次へ
「そういえば。朝、明徳はどのくらい司の愚痴を聞いていたんだ? 俺が来る……10分ぐらい前からか?」 「そんな遅くから、だったらどんなに楽だっただろうね……」 暗い笑みを浮かべながら、窓の景色に目を向ける明徳。 「……明徳?」 「今日は、だいたい1時間ぐらい愚痴を聞いてたかな」 1時間? いつも明徳と司はそんな早くから学校に来てたのか。 知らなかった。 「今日は司がさ、おれの家に来たんだよ。 朝7時ぐらいに」 「朝7時?」 思わず聞き返してしまった。 明徳は小さく頷いて、こちらを向く。 あぁ……顔が暗い。 「今まで迎えに来たことなんてなかったのにさ。 “今日だけは特別なんだ”って。 なんの特別かって訊いたら……」 「テスト返却日」 「そう」 明徳が大きくため息を吐いた。 「なんか、話しを聞くと“明徳みたいな追試の心配がないやつが恨めしい。だから今日はそいつを不幸にするんだ”って」 「すげぇ逆恨み」 苦笑いしか出て来ない。 司が今日はそんな決意で来たってことは、休み時間はずっと愚痴で決まりかな。  
/517ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8725人が本棚に入れています
本棚に追加