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「じゃあ、言うぞ。名前順だからな。
……まずは1人目。
これは大方予想通り、大村 司」
やはり司の名前があげられた。
その瞬間に、司が“ぐあああああ”と奇声をあげ、クラスの笑いを誘う。
大輔もやっぱり、と笑っていた。
「それじゃ、2人目だな。
次は、
東雲 豊(シノノメ ユタカ)」
「東雲?
それって誰だ?」
隣りにいる明徳にそっと訊く。
すると、明徳は無言でスッと前を指差した。
その視線を目で追っていくと、1人の男子生徒に行き着いた。
ちょうど司の隣りの席に彼は座っている。
少し赤みがかった髪。それが耳を完全に隠していた。
背中しか見えなかったが、スポーツマンには見えない体格。
明徳と同じような体格だろうか。
頬杖をついたまま、追試が決まったというのに、彼は動かない。
覚悟していたのか、それとも興味がないのか知らないが、彼は前だけを見据えていた。
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