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「また一人で依頼を受けたのか?」  勢いよくソファーに腰掛けると、左手一本で狩人は器用にタバコの火を点けた。 「でも…満足して帰って行ったと思うよ?」  少し下を向いて、上目遣いに狩人を見ると、ただ…と一言漏らして望もソファーに腰を掛けた。 「ただ…何?」 「依頼人の記憶でできた球体を、夢に変換した時、球体の大きさが違ったような気がするの…」  両手を上にかざし、望は続けた。 「記憶でできた球体より、夢の球体の方が、多分小さかったのよ…」  言葉を途中で遮るように狩人が言う。 「つまり、記憶の球体と、夢の球体の大きさが比例していなかったって事だな? 依頼人の契約違反だ! 記憶と夢は常に等価交換でなければならない。それを無視したら俺達に害が及ぶ…但し…」 「但し?」 「依頼人から奪った記憶が、大きすぎた場合は別だ」  狩人は、タバコの火を消しながら立ち上がる。 「調べてみよう。奪った記憶に関連した全ての記憶を変換し、夢として構築し直した際、奪った記憶が膨大過ぎた為、記憶が夢に変換されずに消滅した可能性がある」 「あの…よくわからないんだけど…」
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