-エピソード望-

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 時々、夢を見ているのか、記憶を辿っているのか、わからなくなる時があった。  少年は、父と母の三人で暮らしていた。  クリスマスイブの日、少年は、母と共に父の帰りを待っていた。  残念ながら雨のクリスマスイブだったけれど、少年の心は高揚していた。 「ママ! このおっきい鶏は、どこから食べてもいいの?」  テーブルの中央に、三本のもも肉が置かれてあった。  いいよ、と、母は少年の頭を撫でながら言った。  少年は、随分と鶏肉が気に入ったらしく、ジッと鶏肉を見つめていた。 「早く……」 …ピンポーン。  母の言葉を遮るように、インターホンが鳴った。 「パパかなぁ?」  母と少年は、駆け足で玄関へと向かった。  モニターを確認せずに、母は扉を開いた。  誰がインターホンを鳴らしたのかの確認もせずに…。  良くある日常に慣れすぎていたがために…。  すべてが…。  一瞬だった。  少年には、何が起こっているのか理解できなかった。  スローモーションで起こる出来事を、ただ見守っている事しかできなかった。
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