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………。
……………。
夢? 望は、少年が目を閉じた瞬間…目を開いた。
夢にしては鮮明過ぎる。自分が経験したみたいだった。
またか…気になる動悸は、やがて確信へと変化した。
まるで誰かに誘導されてるように、望は歩を進めた。
夢遊病者のように、不確かな記憶に焼き付いている道を、辿って歩いた。
小さな保育園に着いた。
ビルとビルに挟まれ、日の光も格段に浴びる事の少ない、そんな保育園だった。
そこに…夢の中の少年がいた。
まだ、五歳ぐらいであろうか? 年長組ではないだろうとの察しはついた。
少年は、誰とも話さず、何度も何度も出来そうにない、逆上がりにチャレンジしていた。
望は暫く見つめた後、少年の瞳、行動を見て、夢の記憶が、やはり間違いではないと確信した。
望は、少年の記憶を探った。
望の記憶と、少年の記憶で一部違う点があった。
少年の母を殺したのは…。
父だった…。
記憶を覗いてしまった以上、ここで契約を解除するわけにはいかなかった。
望は、少年に夢を見せた。
母が死んだ全ての記憶、父が殺人犯である記憶を変換して。
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