バレンタインデー

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その後、 一時間位はみんなで ワイワイと盛り上がった。 でも、マスターとママが経営について熱い話しを始めてから、残された俺と早希ちゃんの間には、変な空気が流れてた。 早希ちゃんは携帯をいじりだし、俺はたまった洗い物を洗い始めた。 洗い場は、カウンターの端にあり3人が居るところとは2mくらい離れてた。 洗い物をしながらも、 早希ちゃんにチラチラ視線を向けてはいたが、彼女はマスターらの話しを聞いてたり、携帯が光れば携帯に目をやるなどして、二人の目が合うことはなかった。 洗い物が終わり、 後は拭いて棚に直すというところで彼女は近寄ってきた。 そしてカウンターから中をのぞき込むように、体を乗り出して話し掛けてきた。 「手伝ってあげようか?」 「えぇよ、もうすぐやし」 「遠慮しないの!」 と、言って俺が持ってた食器拭きを奪って、カウンターの中に回ってきた。 「おいおい、中には入んなよ!」 すると、彼女はマスターの方を向いて、 「いいやんねぇ、マスター?」 と、助けを求めた。 でも、マスターなら余計にアカンって言うよ。 今まで部外者で中に入れた人はいないんだから…。 アホやな~、早希ちゃん。 「かまへんよ~」 ほら、みてみぃ~… えっ?ええんかい! 調子よすぎるは、このオッサン… 彼女はニコッと笑って、 俺の横に並んだ。 「ウチ、拭いていくんで 直して下さいね」 「はい、はい」 どうも、この子の空気には逆らえない自分がいた。
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