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「動くな!!!!」
話し声で溢れていたレストラン内が、突如悲鳴の声に変わる。
銃を持った集団が既にレストラン中を占拠したのだ。
主犯格の男が指示をして客だけではなく、コックから従業員までも、レストランの客がいる広いフロアの中央に固めた。
四方八方から銃口が向けられ、人々は恐怖に陥れられる。
声一つ出さないよう、口を必死に押さえている人もいた。
「……っ」
血が流れる位に唇を強く噛み締めた。
いくら愛梨が能力者とはいえ、これだけ大人数を守りきることは難しい…………
いや、不可能だ。
自らの能力を使うか困惑している間、主犯格の男は警察相手に、「三十分以内に五百億を用意しろ!」と電話に向かって大声で要求している。
滅茶苦茶な額の身代金としか言いようがない。
「こっちに来いって、こいつ!」
無理やり引っ張られて銃を突きつけられて来たのは、さっきトイレに行ったばかり彼氏だった。
人質達が集められているところに突き飛ばされたのを、偶然にも愛梨がキャッチできた。
「……ありがとう……愛梨」
その声と体は酷く震えていた。
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