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タイムリミットはあと三十分。
三十分経ったら誰かしらが殺されてしまう。
「死にたくない!!」という強い思いがレストラン中を錯綜する。
「もういい。さっさと殺ってしまえ!」
時計を見ながら主犯格の男が大声で言った。
まだあと二十分も残っているのに、なんて短気なんだろう。
主犯格の男の命令で、他の犯人達がすぐに行動を開始した。
男だけを十人選別して、壁に向かい合うように一列に並べた。
「殺れ」
男が冷徹な一言とともに手を上に上げると、凄まじい銃声が響いた。
その銃声とともに十人は叫び声をあげて、血まみれになりながら膝から崩れ落ちた。
壁には十人が立っていた場所に血がべっとりとつき、重力に従って下へと流れ落ちていた。
それと同時に他の人質から声にならない悲鳴が飛び交った。
こんな状況でも、愛梨はまだ自分の能力を使えずにいた。
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