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最初の犠牲者が出てから十分程経って、レストラン中に血の範囲は広がり、血の生々しい匂いがあふれかえっていた。
あとどれくらいでまた新たな犠牲者が出るのか、皆目見当がつかなかった。
先程から愛梨と彼氏は強く手を握りしめていた。
十人が殺されてから、彼氏の震えはさらに酷くなっていた。
まるで痙攣を起こしているような感じが、手から伝達される。
「暁人様!」
主犯格の男の後ろから、長身で金髪の男が現れた。
まるで狐のような顔をしている。
ちなみに、容姿だけで言うなら愛梨の中では最低ランクだ。
主犯格の男は慌ててその場で跪く。
暁人と呼ばれるこの男こそが、本当の主犯格だと人質の全員が認識した。
さっきの時点まで一番上の立場だった男を素通りして無視して、何か独り言を呟いて壁に寄りかかり煙草をすぱすぱと吸い始めた。
ギン!
一瞬、暁人と呼ばれる男と目が合ってしまった。急いで目をそらす。
なんだろう、この心臓をえぐられるような感じは……。
息が少しだけあがった。
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