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「そこの女をこっちに来させろ」
暁人という男は、近くにいた二人の男を長い人差し指と中指で指して命令を下した。
愛梨は両腕をとられて、暁人の前へと連れていかれた。
当然能力は知られたくないので、抵抗は一切しない。
「お前がカトリーナか……ふーん。
なんだ、能力を使わないのか?いいんだぞ、使っても。そうでないと、つまらん」
狐目がさらに細くなり、まるで目をつぶっているようにみえる。
ニタニタした顔が不気味さを醸し出す。
「あんた、何を言っているかわけわかんないわ」
右に顔を向いた。
「こいつ!?自分の立場わかってるのか!」
腕を掴んでいる男の一人が、手をあげようとした。
が、暁人に「無駄なことはするな」と制止され、チッと大きな音で舌打ちをしたものの、その命令に従った。
「…まぁいい。お前が使わないなら使わせるように仕向けるだけだ。
そこの男を殺せ!」
この男、彼氏を殺す気だ。
そうわかった途端、両脇の男達を振り払い彼氏の元へと急いで戻った。
だが、遅かった。
愛梨の横を二発の銃弾が追い越して、彼氏の額を突き抜けた。
あとほんの少し間に合わなかった。
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