BEGINNING~新たな敵~

5/20
前へ
/275ページ
次へ
「俺、組織をやめたんだ」 『ケビン』……いや、組織をやめたなら本名である『良』と呼ばなくてはいけない。 良はそんな重大なことを、まるで挨拶のようにさらっと言ってみせた。 良が組織をやめたことには驚き、愛梨の眉間に力が入った。 良は普段何をするにも面倒くさいオーラを出すが、いざという時にしっかりしている。 組織をやめたのは、組織の長官である降旗の横暴なやり方だけが理由ではないだろう。 何か他に理由が絶対にあるに違いない。 「降旗が差し向けた追っ手の処理は、本当に面倒だったわ。今から大変ね~」 「あぁ、くそ面倒だな!」 少し嫌味のつもりで言ったが、良は普通に受け止めているようだ。 大概組織をやめる能力者が、かなり高度な能力を持っている。 良ほどの能力者ならば、追っ手なんかにあっさり殺されはしない。 実力故の余裕というものだろう。 「そういえば良、私にそれだけを言いにきたの?」 笑顔で切り返しにかかった。 前置きはここまでにしておきたいものだ。
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加