BEGINNING~新たな敵~

7/20
前へ
/275ページ
次へ
「良!ここにいたのね!」 後ろから突然、声が発せられた。 声の主は飯田直樹(いいだなおき)だった。 見た目はチャラチャラした感じの良とは違い、眼鏡をかけた超ド真面目・優等生タイプ。 現在も組織の一員で、コードネームでは『ジャン』と呼ばれている。 ジャンとは組織をやめた以来会っていないので、三年ぶりに会ったということになる。 元々大人っぽいせいか、三年経ってもあまり容姿は変わってない。 「愛梨、元気そうだね~。一般人の生活は快適かなぁ?」 「えぇ、とっても」 ジャンの質問に即答した。 実のところ、愛梨はジャンのことをあまり好いていない。 極度の秘密主義な上、耳障りな声と女言葉に寒気を感じる。 だが、それは普段だけで、大切な話や任務時には何故か男言葉になる。 最初、ニューハーフやら同性愛者やら性同一性障害を疑ったが、本人によるとそれらとは全く関連性はないらしい。 「良、話がそれだけなら私はこれで帰るわ」 とりあえず話したいことは終わったみたいだし、ジャンの登場でとても居づらい雰囲気になった。 さっさといなくなるのが一番いい。 「あぁ。愛梨、気をつけてな」 突然来たジャンに戸惑いながらも、良は笑顔で手を振った。
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加