141人が本棚に入れています
本棚に追加
「良!ここにいたのね!」
後ろから突然、声が発せられた。
声の主は飯田直樹(いいだなおき)だった。
見た目はチャラチャラした感じの良とは違い、眼鏡をかけた超ド真面目・優等生タイプ。
現在も組織の一員で、コードネームでは『ジャン』と呼ばれている。
ジャンとは組織をやめた以来会っていないので、三年ぶりに会ったということになる。
元々大人っぽいせいか、三年経ってもあまり容姿は変わってない。
「愛梨、元気そうだね~。一般人の生活は快適かなぁ?」
「えぇ、とっても」
ジャンの質問に即答した。
実のところ、愛梨はジャンのことをあまり好いていない。
極度の秘密主義な上、耳障りな声と女言葉に寒気を感じる。
だが、それは普段だけで、大切な話や任務時には何故か男言葉になる。
最初、ニューハーフやら同性愛者やら性同一性障害を疑ったが、本人によるとそれらとは全く関連性はないらしい。
「良、話がそれだけなら私はこれで帰るわ」
とりあえず話したいことは終わったみたいだし、ジャンの登場でとても居づらい雰囲気になった。
さっさといなくなるのが一番いい。
「あぁ。愛梨、気をつけてな」
突然来たジャンに戸惑いながらも、良は笑顔で手を振った。
最初のコメントを投稿しよう!