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ポチが死んだ。
ポチは隣の坂本さん一家が飼っていた芝犬だ。
よく吠える犬で、近付く者は誰彼無しに噛みついていた。
坂本さんの奥さん曰く、賢くて大人しい自慢の犬だそうだが、僕に言わせれば牢の中で飼うべき猛獣だった。
なので、坂本家に用があるときはしっかりとした対策が必要だった。例えば僕の場合、ゴムボールを投げて気を反らさせていた。勿論使い捨てなので、中々財布に痛かった。
そんなこんなもあって、いくら駄目犬であっても、僕はポチに多少なりとも愛着があった。
ポチが死んだ日、坂本さん一家は泣いていた。
僕もちょっぴり泣いた。
一週間後、坂本家にラブラドール・レトリバーがやって来た。名前はハッピーと言うそうだ。
毎朝彼らは楽しそうに散歩に向かう。
僕はとても寂しい気持ちになった。
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