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入学式も終わって一週間も過ぎれば漸くトモもこの学園の仕組みを理解しつつあった。
(奥が深い…)
『A・B棟の連中には関わるな!会ったら走って逃げろ。C・Dの奴らは比較的無害な人種だがそれもA・Bの思惑で左右されるから常に警戒しとけ。それと、このE棟には五組の連中が収容されている。そいつらは所謂産まれた時から反抗期って奴らだ。一応Eの住人には手出しはしないが気をつけるに越した事はないだろう。』
(それじゃ、Eの一般生以外はみんな要注意じゃん?!)
トモは寮長の鳴海の説明に目の前がクラクラした。
一緒に聴いていた北條は中学からの持ち上がり組で内情を知っていたのか涼しい顔で聴いている。
「………まじで?」
「まじで!特にトモ!!!」
鳴海にビシッと指を指されてトモは身を竦めた。
「お前は初っ端からA棟の生徒会の連中と絡んだから当然取り巻きのB棟のややこしいのに目を付けられてるんだ。
奴らに会ったら死ぬ気で逃げろ!
捕まったらお前の人生はそこで終わりだ。」
「ぅえ゛っ?!」
葬式にはお前と仲間だと思われたくないから行かない!と言った鳴海の心暖まる言葉にトモの目眩は最高潮に達した。
「人でなしっ!あんたはそんなに自分がかわいいのか?!」
「当たり前だ。誰が死にゆくヤツの為に自分を危険に曝すかっつーの!
トモ、人は誰もが一人で産まれて死ぬ時も一人なんだよ?
遺された者を幸せに導くのも去る者の勤めじゃないかな?」
(絶対に寮長は道連れにしてやる……)
偉そうに諭す鳴海に沸々と怒りが湧いてきた。
どす黒い怒りと共に必ず厄介事に巻き込んでやるとトモは信じた事もない神に誓った。
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