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不機嫌全開の炎に、何やら怪しくなってきた雲行きを敏感に感じとったトモは逃げる算段を始めた。
「え~っと…my motherがね、いきなり教育に目覚めちゃって…
親孝行な僕はガリ勉君に転しーん――…
なんつって?! あはは…」
既に相手の捕獲範囲内に位置するトモは何とか隙をみて逃走しようと頭を悩ました。
しかし相手は運悪く、この辺一帯を牛耳るチーム‘ブラスター’の幹部で武闘派No.2の男。
隙なんてそうそう在る訳が無い。
そんな凄い男がどうして平凡な少年代表の自分を気に入ってしまったのか、トモには謎だ。
トモのふざけた回答に益々眉間の皺が深くなる炎。見上げる体躯と真っ赤な短髪を逆立てた強面にトモは内心冷や汗をかいた。
(ヤバい!ヤバい!ヤバいよ、オニイサン!?
コレじゃ逃げらんねー!!!)
「テメェなら時間くらい幾らでも作れんだろ?」
「デスヨネ~~~!」
がっしり捕まれた肩がやけに痛い。
(早く帰って寝たいのに…
さよなら俺の睡眠ライフ。)
トモは密かに小さく息を吐いて覚悟を決めた。長い夜になりそうだ。
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