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正直、俺は困惑していた。
「あのさ………」
無意識の内に彼女に対して話しかけてはいたものの、何を話していいのか分からない。
呼び掛けたまま沈黙している俺を彼女は不思議そうに見つめている。
この寒い中、まったく俺は何やってんだ。
不意に冷静になってしまった俺は一人頭の中で葛藤していると、彼女から言葉は発せられた。
「“あなた”も泣いているの」
彼女は淡く輝いた栗色の瞳で真っ直ぐに俺を見つめながら、そう言うと何故か俺はそれに対する言葉が出なかった。
何か心の中を見透かされた様な感覚にとらわれる。
俺は咄嗟に彼女に対して質問を投げ掛ける。
それは逃げたいという気持ちからかもしれない。
「君は…何で歌ってるの?」
俺の中にあった質問のひとつをなげかけた。
彼女は俺の問い掛けに対して少し沈黙をした後に星空を見上げると小さく呟いた。
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