優しい世界

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「寒いな…」 俺はボソッと呟きながら鍵を開け、部屋に入った 学生がバイト暮らしの仕送り無しっ…て訳で、勿論の如く凄まじくボロアパートなんだが風通しが良すぎるってのも困ったものだ 夏場はまだいいけど冬場になると外と気温はさして変わらないからな 室内にも関わらず白い息を吐きながら俺は小さな電気ストーブの電源を入れると、先刻の事を思い出していた。 “あれ以来”涙なんて流していなかった。 今日の俺はどうかしてるな…。 なぜか頭の中に浮かんでくる彼女の歌と哀しげな表情は俺の心に何らかの変化を告げていた。 一年前に他人と繋がる事を拒絶する様になった俺なのに何故だか“あの女の子”とは繋がってしまった気がしたんだ。 あの子の歌を聞いた瞬間に揺れた俺の心。 「…意味分かんねえ」 俺は目を細めながら、何もない天井をただ見つめていると、いつしか意識は朦朧となりその瞼を閉じていた。 ,
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