※秘めたる想いよいつか貴女へ(百合)

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「『俺も恵美のこと好きだよ』っと。送信」  私の好きな人は今、私の目の前でメールをしている。いつものことだけれどつい口を出してしまう。 「またメール?」 「ん?」  私の言葉に彼女はこちらに目を向ける。正直それだけで胸がときめき、同時に少しだけ切なさと虚しさの混ざった苦しさが私を襲う。もう末期だと自分でも思う。 「何人目?」  彼女は若干考えてこむような仕草のあと、覚えてない、と笑顔で返した。 「いつか後ろから刺されるわよ?」 「それならそれもいいかな」  笑顔のまま、まんざらでもなさそうにそう言う彼女を見ていると、いっそ私が刺してしまいたくなる。  他でもない私が貴女を殺して、貴女を自分だけのものにしてしまいたい。そんな衝動がないと言えば嘘になる。  あ、またメールだ。  彼女は呟いて再び携帯を開く。その横顔は嬉しそうだ。  今度は誰?  貴女の口からはいつも違う女の人の名前。  同性愛者を名乗る貴女は、会う女性(ヒト)ほぼ全てを口説いてる。なのに、私は例外。  ねぇ、気付いてる?  私は貴女が好き。貴女しか見ていない。貴女が私を見ていないのは承知の上で。  甘さなんてとうの昔に吹き飛んだ片恋。涙に濡れた夜はもう数え切れない。嫉妬に狂いそうなのに、私の矜持がそれを許さない。  いっそ狂ってしまいたい。
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