煙草の子

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夏はあんなに騒がしかった教室、 今は静まり返って、みんなノートなんか取っちゃってる。 高校受験真っ盛りって感じで、俺には何だか滑稽にさえ見えた。 雪でも降り出しそうな冷え込みと、鉛筆のカリカリっていう音が俺を考えさせる。 ―…名前だけ書けば受かる高校でも良いけど、何だかなぁ… やりたい事も ましてや勝ってる事も 俺には無くて 人並みには出来るけど 頭が良いわけでも 身体的に優れてるわけでも無い 器用貧乏… 『喧嘩上等』の次に知った四文字熟語。 オトコは学ランだろうと安易な事を思い付き、少しだけレベルの高い高校を選んだ。 取りあえずは教室の雰囲気に溶け混んだ。 俺の目標… 家に付くなり、俺の決意を親に申告した。 有無言わさずに塾の予約と金を渡される。 塾… 俺が? そんなキャラじゃないだろうに… でも目標の為 金は向かう途中で使い果たしてやろうか… でも目標の為 このままフケてやりたいくらいだ… でも目標の…ため。 .
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