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塾の入ったビルの前で躊躇する俺の足
初めて出来た目標を捨てる気も無い俺の心
ピリピリとした寒さに耐えかねた俺の指先がエレベーターのボタンを押した。
『…あれ?ここの塾、通うの?』
後ろから声がした。
七年も聞いては、また聞きたいと思った声
話しては、一喜一憂した声
俺が世界で一番大好きな声
振り返らなくても、誰だか解った、
けど、わざと驚いた表情で振り返る。
『あたしもなの。』
その綺麗な声は
何でくすぐったいの
もしも心臓が動く回数で死ぬと決まってるなら
たぶん俺は
早死にすると心底思った
そんなんで浮き足立っちゃって
やっぱり
エレベーターの中なんて覚えてない。
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