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「痛ったたたっよし、ギリだなっ。間に合った!!!」
「間に合ってないっ!」と四人のハーモニー。
「あれ?おっかしいな~エヘ」
盛大に尻餅をつきながら滑り込む様に生徒会室に現れたこの少年。
ガッリガリに痩せた身体にくびれたウエスト、Tシャツから覗く鎖骨のラインが素晴らしく美しい。
未だに「実はあいつって女の子なんじゃね?」とまことしやかに囁かれている彼は、生徒会雑用係の夜栖だ。
「とりあえず聞いておくか……で、遅刻の理由は?」
呆れ果てた表情でそう聞いた渚はその二秒後に「とりあえず聞いておく」と言った自分の判断を後悔する事になる。
「んとねっ、昨日の鷹さんもう本当に超超超超超ちょーうすっげえの!まじあのゴールドフィンガーには惚れ惚れするっつかもう惚れてんだけど何度見ても凄いっつーかもう全てを超越してんの!神だよネ申っ!!!んでねっ……」
「耳が腐る……」
渚がどん引きしている事などお構いなしに夜栖は続ける。
彼の『鷹崇拝論』は十分後にやっと終わった。
「でさ、結局遅刻の原因はなんな訳?」
そう問う双我の方に振り向いた夜栖は満面の笑みで『寝坊だよー』と答えた。
その瞬間生徒会室に盛大な溜め息が響いたのは言うまでもない。
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