#5.崇拝するのはズバリ!鷹さんです!

2/3
前へ
/192ページ
次へ
      「痛ったたたっよし、ギリだなっ。間に合った!!!」       「間に合ってないっ!」と四人のハーモニー。       「あれ?おっかしいな~エヘ」      盛大に尻餅をつきながら滑り込む様に生徒会室に現れたこの少年。 ガッリガリに痩せた身体にくびれたウエスト、Tシャツから覗く鎖骨のラインが素晴らしく美しい。 未だに「実はあいつって女の子なんじゃね?」とまことしやかに囁かれている彼は、生徒会雑用係の夜栖だ。       「とりあえず聞いておくか……で、遅刻の理由は?」       呆れ果てた表情でそう聞いた渚はその二秒後に「とりあえず聞いておく」と言った自分の判断を後悔する事になる。       「んとねっ、昨日の鷹さんもう本当に超超超超超ちょーうすっげえの!まじあのゴールドフィンガーには惚れ惚れするっつかもう惚れてんだけど何度見ても凄いっつーかもう全てを超越してんの!神だよネ申っ!!!んでねっ……」     「耳が腐る……」         渚がどん引きしている事などお構いなしに夜栖は続ける。 彼の『鷹崇拝論』は十分後にやっと終わった。       「でさ、結局遅刻の原因はなんな訳?」       そう問う双我の方に振り向いた夜栖は満面の笑みで『寝坊だよー』と答えた。    その瞬間生徒会室に盛大な溜め息が響いたのは言うまでもない。    
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

792人が本棚に入れています
本棚に追加