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「良かったぁぁぁ…」
そう言って泣き崩れたのはお兄ちゃんだった。
「悠斗…お前はそんな人間じゃないと思ってたんや」
そう言ったお兄ちゃんは少し笑っていた。
「さっきまで殴りまくってたくせに…」
お母さんがお兄ちゃんの肩を押して笑いながら言った。
「悠斗に謝れよ…」
お父さんも笑ってる…
「いいって…久しぶりに殴られて気持ちよかったし」
悠斗も笑っていた。
みんな笑いながら涙を流していた。
さっきまでの悲しい涙とは違う、嬉し涙を…
私はこの日を忘れない。
悠斗の笑顔がこんなに輝いて見えた日は、この日が最初で最後だと思う。
みんなの笑顔…
涙…
すごく嬉しくて、今までのめちゃくちゃに傷ついた私の心は一瞬にして幸せに満たされた。
傷ついた心は一生戻ることはないだろうと思っていた。
でも、傷はやがて癒える…
傷跡が残ろうとも、その傷跡を気にしてなんかいられない。
傷ついた分だけまた一つ強くなれる。
やがて傷跡が薄れ、その傷が消え去ったとしても、私は決してその時の痛みを忘れず…強くなっていきたい。
そして悠斗を愛し続けたい。
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