にい

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にい

「いらっしゃいま・・・」 宿屋の主人、落胆。 「いやー。まーた来ちゃったよ、オヤジさん。もうしばらくお世話になるから」 戦士の姿を目にするや否や、ロビーにいた客達が逃げる様にチェックアウトした。 「・・・あぁ、なんて事だ・・・」 宿屋の主人には戦士が悪魔に見えている。 魔王との戦いの旅に出る以前1ヵ月間、勇者達はこの宿にいた。僧侶・剣士・魔法使いはその時間を共にするのを心の中で拒否していたが、言えなかった。1日中飲んで、食べて、騒ぐ、飲んで、食べて、騒ぐ。主に戦士が飲んで、食べて、騒ぐ。 代金は勇者一行に旅を持ち掛けた国王持ち。と、戦士が決めた。その為に宿屋側には金銭的利益こそあったが、あまりにも他の宿泊客への迷惑極まりない騒ぎだったので店の評判が各段に落ちた。 宿屋の片隅。 「あんた、どうすんだい!勇者様が来ると他の客が来ないんだよ。常連さんがいなくなっちまうよ!」 奥さん、愚痴。 「そんな事言ったって、出て行ってくれとも言えんだろ・・・。お代は国王様から頂けるんだ。経営はそれで何とかするしかない」 宿屋の主人、そう言いながら本心は出て行ってもらいたい。
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