2人が本棚に入れています
本棚に追加
迷子の森で出会ったのは
名も知らぬ少年
細い首 絡む指
爪が食い込む細い肉
瞳に写るのは
赤い瞳のウツシカガミ
あたしを拐って
あたしを好きになって
触れた赤い唇は
甘い苺のジャムの味
時計の針がひとつ進む
迷子の森で出会ったのは
名も知らぬ少女
白い肌 赤い爪
肉を抉る細い指
瞳に写るのは
青い瞳のアワセカガミ
僕を殺して?
僕を嫌いになって?
鬱いだ赤い唇は
苦いチョコの味
時計の針がふたつ進む
赤と白のチェス盤の上
終わらないワルツを踊っている
沓は足枷 腕輪は手錠
甘いワルツは断末魔
あたしを拐って
僕を殺して
あたしを好きになって
僕を嫌いになって
食い違う駒鳥の囁き
啄むのは命の枝葉
傷つけた枝の先
枯れていく運命を待つだけなの…
閉じた扉の中に
迷い込んだアリスと兎
今宵も踊る 躍る…
最初のコメントを投稿しよう!