第一部・序章

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第一部・序章

僕はその時目覚めた。 周りは暗闇に覆われてた。 いつから眠っていたんだろう? 取り敢えず上半身を起こしてみた。 ガン! 「痛っ!」 どうやら何かの中に、自分が入り寝ているらしい。 しかし間もなくして、空気が流れる音がして、扉が開いた。 僕は何かの柩の中に入ってたらしい・・・。 暗闇に眼が慣れると、周りを見渡してみた。 すると自分以外の人が入ってるような、カプセルが部屋に三つ在り、まだフタが閉まったままだった。 「ここはどこ何だろう?何で僕はここに居るんだろう?」 自分の声が闇に吸い込まれていく。 僕は過去を思い出そうとした。 しかし真っ白な空白の穴が開いてるみたいに、何も思い出せなかった。 また空気音が部屋に響いた。 自分以外のカプセルが開き始めた音だった。 中には二人の男と一人の女が横になっていた。 揃って眼を覚ます三人。 しばらくして女が口を開いた。 「ここはどこ?あんた達は誰?」 僕以外の長髪の男の一人が答えた。 「こっちが聞きたいよ。俺は・・・・。解らない。自分の名前も過去も・・・・」 髪が銀色のもう一人が言った。 「ここ病院じゃないの?変なベッドだけど。見ろよ名前が書いてるぜ!」 僕は枕もとの名札を見た。 そこには「アヒト」と書いてあった。 「僕の名前はアヒト・・・」 長髪は言った。 「俺はベルらしい」 銀髪も続ける。 「俺はコール」 最後に女が 「私はアイみたいね」 素晴らしい進歩だ。 僕たちは何も解らない状況から、自分達の名前を知ったのだから。 次々とカプセルから立ち上がる四人。 しばらくして、僕は電灯のスイッチらしきものを発見し、押してみた。 一瞬で部屋が明るくなり、四人は眼を細めた。 光に慣れると部屋をもう一度見渡してみた。 しかし見れば見るほど、ここが何の部屋なのか、謎が深まるばかりだった。 白い壁と天井。 カプセルの周りには、何を行っているのか不明な機械。 そしてやっと一つの推測が、頭に浮かんだ。 (ここは何かの研究所みたいだ・・・) ベルは出入口のドアを開けて、僕たちに言った。 「取り敢えず部屋から出ようぜ。気分が悪い・・・・」
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