第一章(下)

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  「昼食の件ですが、ラーメン屋にでも入りましょうか」   「おお、賛成だ。ラーメンの美味しい時期だからな」    大沼の中では、冬とラーメンの美味しい時期が一致するらしい。  彼らの視線の先には『ラーメンと中華のまんぷく亭』と書かれていた。赤い暖簾が、ひらひらと棚引いている。   「ラーメンと中華が、異なるものだとは思えませんが……」   「ああ、確かに、ラーメンも中華のジャンルに入るわな」    カウンター席に座った彼らは、醤油ラーメンを二つ注文した。それなりに客も入っている。店内に設置された四人掛けのテーブルは、五つ全てが埋まっていた。   「幸い俺たちは、死体を直接見ていないから、昼飯もいただけるってわけだ」   「それでも、食欲が沸くことはないですがね」   「食わなきゃ、仕事にならんだろう。流石に、焼き肉を食べに行こうとは思わんが、ちょっとは腹に入れなきゃならん」    そう言って大沼は、運ばれてきた醤油ラーメンを美味しそうに頬張った。  立ち上る湯気が、臼井の眼鏡を薄らと白く曇らせていた。  
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