499人が本棚に入れています
本棚に追加
「実は、あの、絶対に笑わないでくださいね?」
「ええ。勿論、他言はしませんし、笑ったりなんかしません」
彼の言葉は、沙織に少しの勇気を与えた。
自分の思い過ごしなら、それはそれでいい。彼に話すだけでも、気持ちは幾分か和らぐかもしれない。
沙織は、彼の微笑みに甘えてみることにした。
「ここ最近ずっと、誰かに見られているような、そんな気がするんです。わたしの気のせいかもしれませんが、どうも視線を感じて……」
「それって、その、いわゆるストーカーですか」
「わかりません。人影を見たこともありませんし、何も証拠はありません。だから、両親や友人にも相談できないし、ましてや警察には……ねえ?」
運ばれてきたハンバーグステーキから、美味しそうな香りが漂う。付け合わせのニンジンが、妙にオレンジ色だった。
成嶺は顎に手をつけて、何やらじっと考え込んでいる。
整った顔立ちは、相変わらず綺麗だった。しかし沙織は、彼の横顔をどこかで見たことのある気がした。
最初のコメントを投稿しよう!