2章【過去】

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    「葉月の為なら、なんだってするよ。」 本心。 ボクに出来ることがあるならば、なんでもしたかった。 あるなら、だけど。 葉月はボクの言葉を聞いて一瞬真顔になって、 「じゃあ 俺の為にヒトを殺せる?」 葉月の口から出た意外な言葉に、反応出来ず躊躇。 …葉月はその一瞬も許さない。 「ホラ、なんでもなんて嘘ばっか。 ウザイ。嫌い。どっか行って。」 後で判った葉月が殺したい程憎んでるヒト。 葉月の実の父親。 葉月がまだ幼い頃におこった交通事故。 母親は死んだ。 葉月を庇うようにして。 葉月は、美しかった母親そっくりで。 葉月の父親は葉月のことを、ひどく愛してて、ひどく憎んでた。 葉月の身体には虐待の跡があった。 殴られた跡。 蹴られた跡。 煙草を押し付けられた跡。 それに‥‥。 ボクにヒトが殺せるだろうか。   考えてみても、答えは出そうになかった。      
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