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「隆也たちって今どこにいるの?」
私の思いつめた顔に何かを感じ取ったのか、二人は口を告ぐんだ。
現実の世界で聡子も隆也が好きだったのだ。だけど、私が先に告白っぽいことを言ったから、自分から諦めてくれたのだろう。そんな子だった。
「隆也の実家でいい奥さんしてるんだろうね」
そっとカマをかけてみた
「あ、ああ。早苗は結婚式にも出なかったし、あれから連絡とってないんだろ?でも、俺たちからいろいろ聞いて『私なら田舎でなんて暮らせない』とか言ってたじゃん。だから、すっぱり諦めたんだって思ってたんだ俺たち」
やはり、聡子なら田舎で良いお嫁さんになっているようだ。
美晴と柳瀬が私の落胆振りに心配顔になった。
びっくりしただけだ。そう思い込もうとして、から元気を出した。
「う、うん。そうだった。ごめんね。変なこと聞いて。ちょっと仕事で疲れてたんだ。二人の顔見たら元気でた」
と言いながら、から元気はやはり力が抜けていた。
そんな私を見て、現実では自分が失恋したときのショックはなんだったのだ、と思いたくなるような優しさで美晴が聡子を庇った。
「早苗……聡子もだいぶ悩んだんだよ。だけど、隆也くんがさ、選んだんだよ、聡子を」
そう言われて、心が広いフリをすることにした。
「うん、わかってる」
隆也のことも聡子のことも分かりすぎるくらいわかってる。
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