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黒かぁ。嫌な色だな。せめて金色とかだったらよかったのに。
なんかこれを飲んだらそのまま楽に死ねそうに思えた。
もうどうなってもかまわなかった。
私は黒いその一粒を手の平にとって眺めた。
これで終わるのかな。なにもかも。それでいいや。
ごくん。飲み込んだ。
途端に私は暗闇の中にすいこまれていったように感じた。ブラックホールにでもはいったのだろうか。
死の世界ってこんな感じ?音もしない。何も動かない。匂いすらしない。
私は怖くなった。本当に怖いというのはこういうことだ、と誰かに思い知らされているようだった。
勝手なもので、今度は死んだことを後悔している。死んだらおしまいだ、本当に。
こんな時に隆也と智香の顔が浮かんだ。
「隆也~、智香~」口をあけているのかよくわからないまま声を出してみた。
「………なえ」
遠くで小さな声がした。
「さなえ、早苗。大丈夫か?」
懐かしく、愛おしい声だった。その声に誘われるように目が開いた。
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