まさかの夢

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   気がつくと時計の針は12時をさしていた。2時間ぐらいラベルを見ていたことになる。  そこで、ふっと笑ってしまった。誰かの悪戯だ。じゃなきゃ私がおかしいという事だ。あれこれ考えていたから疲れていたのかな。    でも、ラベルの文字に私は惹きつけられていた。  よく見ると、青粒と赤粒、黄色の粒は3分の一ずつはいっているようだ。  一粒でどれくらいの効果が出るのだろう。  未来は分からないから、過去からためしてみる? と、自分に問いかけてまた笑えてきた。こんなことがあるはずない……。    そう、今の自分の状況が幸せに思えなくて何かを変えてみたくて、でも変えられない現実があって……。  ただの睡眠薬か健康補助食品かもしれない。  隆也は製薬会社の研究所で働いている。だから、自分の体のための滋養強壮剤かもしれない。  元気になりそうな色なら赤かな? 私の好みだというだけだが。  私は赤い粒を一つ手の平に載せていた。  隆也が持って帰ってきたのだろう。さっきまで無かったのだから。    一つだけ飲んでみよう。隆也が持って帰ってくれた物なら大丈夫だろう。  私は隆也に確認したわけでもないのに、安易にそう思い込んだ。    でも、本当に過去に戻ったりしたらどうする?  いや、戻りたいのではないだろうか、今の私は。  非現実の世界を体験したい欲望を抑えきれないのかもしれない。   もし、過去へ戻れるなら……そんな誘惑に誘われるように手の平の赤い一粒を飲んだ。  ぶぅーーーーんと意識がとんだようだった。
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