まさかの夢

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 仏壇の前に座り両親の遺影を見ると、鈴を鳴らす前に涙が出てきた。 「姉貴、どうしたの? 義兄さんとけんかでもした?」弟が心配してくれている。 「ううん、ちょっと来たくなったから来ただけ」  本当に来たかっただけ。もしかしたら両親は死んではいないかもしれない、なんてわずかな奇跡に期待して。    弟は三年前に結婚してこの家を継いでくれている。 「有希さん、少し元気になった?」 「うん、まぁね」  お互いが気を使いあっているのがわかる。
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