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漂ってきたオーデコロンの匂いに、嗅覚の鋭敏な私は眉をしかめる。
「春菜、私の分も朝食を頼む」
「はい、ちょっと待っててください」
かたりとイスを鳴らした春菜おばさんは冷蔵庫に向かったようだ。
すぐにガサガサと食材を取り出す音と何かを炒めるジュージューという音が聞こえてきた。
春菜おばさんの手によりあっという間に出来た朝食を政義おじさんが食べている間、食卓は終始無言だった。
「ごちそうさま」
何となく気まずい雰囲気の中、由香里ちゃんが食事を終える。
春菜おばさんに私、最後に政義おじさんがすぐに続いてごちそうさまをした。
さて、どうしよう。
ごはんを食べた後は出来れば動きたくはないのだけれど、かといって居心地の悪い空間にこれ以上いるのも正直ごめんだった。
と、ライターの擦れるシュボッという音がした。
私の鼻先をタバコ特有の煙臭さが漂う。
「……っ」
むせそうになり、私は思わず息を止めた。
「ちょっとパパ。ここでタバコなんか吸わないでよね!」
由香里ちゃんがムッとした様子で政義おじさんを咎めたてる。
「吸うなら自分の部屋で吸ってっていつも言ってるじゃない。服に臭いが付いたらどうするのよ!」
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