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階段にさしかかったところで、頭上からの声が私に降ってきた。
私は顔を二階に向ける。
この家で私の事をお姉ちゃんと呼ぶのは一人しかいない。
「おはよう、由香里ちゃん」
「おはよっ!」
バタバタと階段を駆け下りてくる由香里ちゃんは朝から元気いっぱいだった。
低血圧で朝はテンションの上がらない私としては、彼女の溢れんばかりの活発さは羨ましいかぎりだ。
「行こっ」
由香里ちゃんと私は仲良く手を繋いでキッチンへと入った。
「おはよう、ママ!」
「おはようございます」
キッチンには由香里ちゃんのお母さんで、私にとっては伯母にあたる春菜おばさんがいた。
天真爛漫でそそっかしい我が家のムードメーカーである由香里ちゃんとは反対に、常に落ち着いた物腰をしており、柔らかな立ち居振る舞いと穏やかな口調はこれぞ大人の女性と思わせるものを持ち合わせていた。
私にとっては憧れの女性の一人だ。
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