恋人

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話を終えて、二人はそのままデートをすることになった。 映画を見て、買い物をして、洒落たレストランで食事をした。 こんな楽しい1日は初めてだと由香利は終始笑顔だった。 その様子に和也は… 『由香利ちゃん? 俺、守るから!君を。』 そんな和也の言葉に由香利は、止めどなく涙を流す。 『泣かないで、笑って!笑顔のが似合ってる!』 励まされて涙をぬぐう。 『今日は本当に楽しかったです !幸せって、道端に落ちてるんですね。』 ペロッと舌を出して笑って見せる由香利を和也は愛おしく思った。 ガバッ! 思わず抱きしめた和也。 『由香利ちゃん?』 『!?』 由香利は眠っていた。 『き…よ…み… わから…ない。』 寝言のようだが様子がおかしい! 『由香利ちゃん!寝ちゃ駄目だ!起きて!!』 体を揺さぶりながら声をかける和也。 ハッ!? 目を覚ました由香利の顔は青ざめていた。 『私…また!?』 尋ねる由香利にそっと頷く和也。 『家まで送って行くよ』 和也はタクシーを呼び、由香利を後部座席の奥へ乗せ、隣に腰掛けた。 『由香利ちゃん、家まで案内してくれる?』 由香利はモウロウとしながらも運転手に行き先を伝え、何とか眠ることなく帰り着いた。 『どうぞ、上がって。珈琲でもいれますよ。』 誘われるままに部屋に入る和也。 しかし、和也は部屋の様子に違和感を覚えた。 誰も居なかったはずの部屋なのだが、人気を帯びており、部屋の壁に高校生の物と思われる制服がかけてある。 『由香利ちゃんって、学生服飾ってるんだ。』 言って由香利を見る和也だったが、またも由香利の顔から血の気が引いていた。 『な、何で……、何でここに!?』 呆然と立ち尽くす由香利。
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