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いつもの日常から絶望へ
あの朝は何も変わらなかった。
彼はいつも通りに起床し、二階の自室から一階のダイニングに向かった。
「拓馬ぁ、早く食べて学校行きなさい。今日テストでしょう?」
母は出来たばかりの味噌汁とご飯をテキパキと運んでいる。
「ふぁぁい。」
彼も欠伸で返事をしテーブルにつく。
「おはよう、拓馬。」
向かいに座る父もまた、眠たそうに彼に言った。
職業は警察官。
根っからの剣道好きで段位は六段である。
無精髭と弛みはじめた腹をさすりながら新聞を眺める姿からは想像できないが、かなりの実力者として県下で名前を知らぬものはいない。
昨夜も遅くまで仕事だったらしく顔には疲れの色が見えていた。
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