第2章

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恨めしそうに足を見つめて淡々と語り出すリョウは、薄く笑っている。 自分への嘲笑なのか、諦めなのかは分からないが……作り笑いなのには間違いないだろう。 「生まれた時からこの足は壊れてるんです。歩く事は出来るのですが、皆と同じように走ったりは出来ません……。山道を歩くのも人の3倍は時間が掛かってしまう……。幼い頃、友達と遊んでは度々置いて行かれました。中には気を使ってくれる人も勿論います。その人の気持ちは有難いのですが、哀れみの入った友情なんて僕はいらないから……。腫れ物に触るような扱いをされるのが嫌で、一歩引かれた距離が嫌で、もうほとんど外へは出ていません。」 難しい問題だと思う。 友だからこそ、手を貸してやりたくなる訳で。 でもそれがリョウにとっては苦痛であると……。 両者の気持ちはわかるが何と言ったら良いか。 『同情の気持ちが多少あっても友達なのに変わりは無いのでは?』 などというセリフは俺が言うべき言葉ではない……。 胸の内へと、しまう事にした。
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