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「俺もその友達の様に、君を壊れ物のように扱うかもよ?」
「ふふ、そうですね。」
子供のように笑う彼の笑顔は、今度は作り物ではなかった。
「でもあの椿を好いてくれるあなたを、僕はもっと知りたいと思った。人の考えなんて薄っぺらいものですね。……駄目ですか?」
何がだ?
えーと、これは俺の事を話してくれと言ってるのか?
「んー、よし、じゃあ、俺の事をもっと知ってもらおう。出掛けるぞ。」
「はい?」
「ほら、早く着替えて。あ、ちゃんと厚着しろよ。今日は冷えるからな。」
「ちょっ!無理です!!ここ何年も外に出た事は……」
何年?!
まさかそんなにも家の中へ引き篭もっていたとは知らず、思わず口があんぐりと開いてしまった。
そんな俺を見てリョウは恥ずかしそうに下を向いてしまう。
しまったと思いつつも、彼の手を取り、着替えるよう促した。
「なら尚更だ。俺だけじゃなく、外の世界をもっと知るべきだ。」
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