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だが、最近世の中が物騒になり始めている事もある。
「君の言う通りだ。実際、学校や学園に武術なんて不必要なものだ。だけど、君ももったいないと思うだろう? この力を使ってみたいと思った事はあるんじゃないか?」
「まあ……それは……」
少したじろいだ様子を確認して、バロードは更に追い討ちをかけてくる。
「力を蓄えても、家に監禁されていれば使えないしね」
「……!」
その言葉を聞いて、バロードを睨みつける。
こいつ、家の事情を知っているのか?
そんな事を思った時、バロードが心の中を見透かしたように口を開く。
「君のお父さん……君の師匠と言ってもいいかな。あの人には良くしてもらっていたからね。入学すれば、君の何かが見えてくる筈さ」
バロードは一切微笑みを消さずに言い続ける。
だが、こっちにデメリットは無かった。
どっちみち、この後どんな事をするのか、全く考えていなかったし、ここで頷けば入学出来るのだ。
しかし、この男の言った事に、違和感が残る。
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