邂逅

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ぼんやりと駅前を眺めていた。 結構栄えた駅で、駅前にはビルが立ち並び駅前は立体歩道橋でビルの二階に直接入れる様にもなっている。 人の波は、大小こそあるが常に絶えない。 そんな、歩道橋の上、道の端に設置されたイスにドッカリと座っていた。 別にチンピラの様にあからさまに迷惑な、幅を取った態度の悪い座り方をしている訳ではないが、背が高いためちょっと足を左右に開けば、やはりドッカリという表現が当てはまる。 青年はぼんやり何をするでも無く、道端で通りすがりの人を尻目にショーを演じる女の子を観察していた。 …面白い。 素直にそう感じた。 ただのマジックショーなはずなのに何故か惹かれるモノがある。 それはトリックの巧妙さか話術の高さか、はたまた同い年程に見える少女の快活な笑顔か… どれがそうとも言えない、いや、全部まとめてそれなのかも知れない。
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