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少女は太陽の光りをキラキラと反射する金髪を振りながら、ショーを演じる。
どうやら外人の様だ。
雰囲気もどこか日本人離れしている。
台の上で行なっているトランプを使ったマジックは、派手なパフォーマンスを交えてそこそこの人だかりになっている。
しばし、その光景に魅入られるが、横からぬっと現れた人影によってそれは阻止された。
「あ~、待った~ぁ?」
「…いや、そうでもない」
気分が今日の底値を打つ。
その後は勢い止まらず暴落だろうと容易に予測出来る。
元は黒髪なのに無理に脱色を重ねて、痛み汚くなった金髪を持つ、見るからにギャルと分かる女子高が、(俺から見れば)気味の悪い笑顔を張り付けて覗き込む。
化粧もやたらと厚く、香水の匂いもキツい。
香水でどぎつい臭いを発するのはバイオテロである。
コイツ―――三波美早とは二か月程前に彼氏彼女の関係になったばかりである…が、もう既に個人的には別れの境地にあると思っている。
何しろ、美早に悪い噂はこと尽きない。
やれ不良に付き合い暴行事件に関わっていただとか、やれウリに出ているだとかそんな噂ばかりが耳に入る。
大体、俺と会っている時間よりも不良連中と会っている時間の方が断然長い。
俺と会う時間と言えば、毎週末にデートという名目上、タカられたりどこから手に入れたかも分からない汚い金を大っぴらに使い、荷物持ちに使われるだけだ。
そんな奴と何故付き合い始めたかと言えば、脅迫としか言い様が無い。
争い事にはよく巻き込まれるが、元来嫌いな性格だと自負しているため、まぁちょっとした厄が降り懸かっただけと自分を納得させてたが…
失敗だったよなぁ…と嘆息した。
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