邂逅

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まぁ、周りから何故俺が彼氏にさせられたのかを聞けばタダの見栄らしい事は分かっている。 日本人にとって188cmという高い身長が要因しているらしい。 身長が高く顔がある程度整っていれば、普段の生活においてはイケメンに見えるという日本人の感性ゆえのようだ。 …だが、告白されたのはあれが初めてだったんだがな……… どうも、漫画やアニメと同じとはなかなかいかないこの世界。 告白されてもちっとも嬉しくはない。 「ほらぁ~、行こうよ~」 腕を引かれ、甘ったるい猫なで声が耳に障る。 いつもタカる時に出す声音だ、恐らくタカる算段だろう。 …面倒くせぇ……… また、一つため息を吐いて、腕の引かれるまま従った。 ◇◇◇ 「おーい、誠司ー。昨日はお疲れだったよーだな」 翌日の朝、教室に入り自席に向かう途中に声をかけられた。 取りあえずといった感じに、自席の横の引っ掛けにスクールバックを掛けて椅子を引いて座りこみ、声の主に向き直る。 「おいおい、冴えない顔してんじゃんかー」 「うるせぇよ。馬鹿ちんが。お前ハエみたいに五月蠅いんだよ」 「なんだなんだ!?ってこたぁお前ぇは腐ったバナナか?流石粗チン」 「口先だけは立派な様だ…死ぬか?」 「NO THANK YOU」 「死・ね!」 朝からテンションの高い眼前の男、吉前八輝(ヨシサキ ヤツキ)は些か騒がしい性格だ。 それは、八輝の家庭の事情にも関与することであるから踏み込んだ話はしていない。 が、とにかく騒がしい。 クラスではお祭奉行として文化祭や体育祭にはつきものの打ち上げを全て八輝が率先して開催している。 打ち上げにおいてクラスメイトの出席率は三年間固定されたクラスで脅威の97%を維持している。 もはや、一種のカリスマだ。
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