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八輝は真顔に戻り、クラスメイトに向き直り叫ぶ。
「おーい、皆聞いてくれ!この前、誠司が、な?」
ここまで叫ぶとニヤっと笑ってこちらを見る。
目は「いいのか?いいのか?言っちゃうよ?」と語りかけてくる、がさっぱり検討がつかない。
「何だよ、何にもやましいこたぁねぇぞ」
言うが八輝は毛程も気にしたようではなく、しかも、少し否定したせいか余計に注目が集まってしまった。
「誠司がな、ウチに来たんだよ!そしたら、丁度、妹が家に帰ってたんだよ!小5の妹が!それで誠司と鉢合わせして挨拶したらウチの妹が誠司にホレたらしくてな!この野郎!ウチの妹を!このロリコン!」
支離滅裂な内容だが、大体は理解が出来、理解が出来たからこそ、
「八輝、八輝」
ちょいちょいと手招きすると振り返った八輝が一歩「なんだよ、ロリコン?」と近付いた。
刹那、右手を伸ばし、ネクタイを引っ掴む。
ついで、右足を八輝の腹に入れ、ネクタイを引き寄せる。
「うぉ!」と驚いた声を発しお辞儀をした体勢になれば、あとは…
ゴチン!思いっ切りぶつけた頭同士から音がなる。
少しズキズキと額が痛むが八輝の頭頂部にかましたそれには及ばないことを思えば安いものだ。
現に、頭突きを食らわせた瞬間に手を離したが、二三歩後ろによろめき、尻餅を付き頭を抱えて唸っている。
「八輝、テメー何言ってやがんだ」
「ちょ、ちょっおま、お前元サッカー部だろ!痛ぇよ!」
「安心しろ。俺も痛い」
涙目で見上げてくる八輝を冷めた目で見る。
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