84人が本棚に入れています
本棚に追加
家に明かりが点いていると幸せだと言うけれど、ヒロには重荷にしか感じられなかった。また今日も小言を言われるかと思うと、足取りも重くなる。
「聞いて!」
玄関を開けると、目の前に顔を真っ赤にしたタエコが立っていた。
「なんだよ。こんな所で」
「近所のママが、うちの子が可愛くないだなんて言うのよ!?普通言わないでしょ?」
「だから?」
「ヒロは悔しくない訳?!侮辱されてんのに!」
「…どうせ、またタエの被害妄想だろ。ちゃんと人の話聞かねぇし」
腕を掴もうとするタエコの手を振り払い、スタスタと洗面所に向かう。
「私が悪いって言うの?!ヒロ!」
玄関でヒステリックに叫ぶタエコを無視して扉を閉める。
最近は毎日これだ…
誰がムカツクのなんなのしか言わない荒んだ妻。
病んでいるにちがいない…家も妻も…
最初のコメントを投稿しよう!