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「今日はどこか食べに行こう」
換気扇の下で煙草を吸いながら、冷蔵庫の中身を確認するサヤに話し掛ける。
「あんまり外に出たくないんじゃないの?」
「今日は食べに行きたい気分なんだよ」
灰皿に煙草を押し付けて火を消すと、後ろからサヤを優しく抱きしめた。
「どうしたの?」
「サヤが可愛いから」
「…?変なの」
クスクス笑うと抱きしめるヒロの両腕に自分の腕を重ねる。
「サヤといると安らぐんだ」
すぐ前にあるサヤの髪からネロリの香りがふわっと香り、ヒロは幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。
安らげる場所がある。
自分を必要としてくれる人がいる。
ここにはサヤがいる…
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