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月曜にサヤの家に行く道のりは、遠足に来ているようでウキウキする。日曜は、自宅という牢獄に閉じ込められているから…
「サヤに会いたかった」
玄関先でサヤを抱きしめると耳元に囁いた。
「休みの日はサヤに会えないから辛いよ」
そう言った自分を、もう一人の自分が嘲笑う。来れない原因は他の誰よりもヒロが知っていることなのに。
「キスしていい?」
サヤが答える前に顔を近づける。ゆっくりと目を閉じるサヤの耳にそっと唇を寄せた。
「いつも目を閉じるんだね」
唇を合わせながら、ヒロの頭の中では自問自答が繰り広げられていた。
本当に辛い想いをしているのは…
目を閉じさせているのは俺…
俺はサヤといて幸せだけど、サヤは俺といて幸せなんだろうか?
分からない…分からない…
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